レポート

2017年度 No.2「フィリピンの台風・洪水シーズンに備えて」

2017.7.1

6月から12月はフィリピンに台風が襲来する時期になります。過去の自然災害履歴を見ると、フィリピンでは台風によって多くの物理的、人的被害が発生しています。台風シーズンの到来に際して、企業としては従業員の安全確保を第一に考えた被害防止策を講じると共に、人的・物的被害を最小限に抑えるために、ソフト・ハード両面での備えを再度確認しておく必要があります。

本稿では、フィリピンにおける台風・洪水シーズンに向けた対策と罹災後の対応のポイントをご紹介します。

1.フィリピンの台風・洪水リスク

フィリピン海から西太平洋エリアが、世界で最も熱帯低気圧(台風のタマゴ)が発生するエリアです。フィリピンは日本と同じく世界で最も台風リスクの高い国の一つであり、発生場所に近いだけに接近までの日数が短く、かつ、進路を予想しにくいという難点もあります。

(1) 自然災害の発生状況

フィリピンで発生している自然災害の統計データは、EM-DAT 1)やUNISDR(国連国際防災戦略事務局)が運営するPreventionWeb 2)などで確認することができます。これらの統計データを見るとフィリピンで発生する自然災害のうち約80%が台風・洪水であり、自然災害による被害額も90%以上が台風・洪水によって発生しています。

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