レポート

第24号「職場における熱中症の予防」

2017.7.1

1.はじめに

熱中症は、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり(脱水)、体温の調節機能が低下したこと(高体温)により発症する健康障害の総称である。例年、日本国内では4万以上の人が熱中症により救急搬送されており、救急搬送者の約半数が65歳以上の高齢者である。また、救急搬送者の約4割は入院治療を受けている。

職場においても同様に熱中症による労働災害が毎年多く発生している。2016年は462人(2017年1月末時点速報値)が職場において熱中症を発症しており、年間400人を超える熱中症発症は2010年以降連続している。厚生労働省は第12次労働災害防止計画(以下「12次防」)の重点対策項目の一つとして熱中症対策を挙げており、「2013年~2017年までの5年間の職場での熱中症による休業4日以上の死傷者数合計を2008~2012年の同合計と比較して20%以上減少させる」ことを目標にしている。しかし、2017年1月現在の速報によると、2013~2016年までの4年間の熱中症による休業4日以上の死傷者数は2008年~2012年までの5年間の同合計の95%に達しており、目標が達成できないことは確実である。

熱中症による労働災害を減らすため、厚生労働省では2017年5~9月に「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施し、職場における熱中症予防に重点的取り組みを進めている。

本稿では、熱中症発症のメカニズムと発生状況、国の取り組み、事業者・労働者に求められている対策を紹介する。

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