レポート

第1号「変化の時代に企業がやるべきこと―健康経営という戦略を知る―」

2017.10.1

1.はじめに

「健康経営」という言葉を新聞やセミナーで頻繁に目にするようになった。特に、経営者や人事労務部門の担当者は、ここ数年、健康経営を取り巻く環境の慌ただしい動きを肌で感じているだろう。「健康経営銘柄」「健康経営優良法人・ホワイト500」といったキーワードを挙げた方がピンとくるかもしれない。

そもそも、健康経営という思想は20年ほど前から米国のエコノミスト達に認知され始め、1992年にローゼン(Robert H. Rosen)氏が著書「The Healthy Company」の中で「健康な従業員が収益性の高い会社をつくる」という概念を明確に提唱したものだ。米国には日本のような皆保険制度がなく、労働者は企業を通して医療保険に加入するのが一般的であった。そのため、従業員の健康が企業の財政に与える影響は大きく、従来分断されてきた経営管理と健康管理を統合的にとらえる必要性を説いたのである。

日本では十数年ほど前から有識者の間に浸透し、2005年には特定非営利活動法人健康経営研究会によって「健康経営」という言葉が商標登録された。ここでは『健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること』と定義している。その上で、労働法の遵守、安全配慮義務の履行、健康保険組合の財政の安定化など日本式の制度も組み込んだ健康経営を推進している。

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