レポート

第80号「外国人来訪者に配慮した災害情報の伝達や避難誘導」

2018.3.1

本号の概要

  • 外国人観光客の増加に伴い、外国人の利用が見込まれる施設では来訪者等に配慮した災害情報の伝達及び避難誘導を効果的に行うための体制整備が求められている。
  • 今年度末までに「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」が策定される見込みである。
  • 一斉放送や自衛消防隊員による施設利用者への個別対応時に、多言語化・視覚化した情報を用いて災害情報の伝達や避難誘導を行えるよう、資機材の準備や定期的な訓練実施が重要である。
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1.はじめに

2012年は約836万人であった年間の訪日外国人観光客数が2017年は3倍を超える約2,869万人となり、近年顕著な増加傾向を示している。政府は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年には4,000万人に増やす目標を掲げており、今後も外国人観光客の増加が見込まれる状況にある。そのため、これらの方々の利用が想定される交通機関や宿泊施設等では、災害情報の伝達や避難誘導について多言語化や視覚化の重要性が高まっている。総務省消防庁は「外国人来訪者等が利用する施設における避難誘導のあり方等に関する検討部会(以下、検討部会)」を設置し、2016年10月の第1回検討部会以降、これまでに6回の検討部会と2回の実証訓練を含む6回のワーキンググループを開催してきた。今年度末までに検討部会の報告書や「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン(以下、ガイドライン)」が策定される見込みである。

本稿では、2018年1月30日に開催された第6回検討部会で審議された報告書・ガイドラインの素案を基に、多数の外国人来訪者の利用が想定される施設(駅・空港、競技場、旅館・ホテル等)に焦点を当て求められる災害情報の伝達や避難誘導について述べる。

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