レポート

ESGリスクトピックス 2017年度 No.11

2018.2.1

国内トピックス2017年12月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<生物多様性>
環境省が「生物多様性民間参画ガイドライン(第2版)」を公表

(参考情報:2017年12月8日付 同省HP)

環境省は12月8日、事業者のための「生物多様性民間参画ガイドライン」を8年ぶりに改訂し、第2版を公表した。

同ガイドラインは、事業者による生物多様性の保全と持続可能な利用に関して基礎的な情報や考え方を取りまとめたものとして、2009年に策定された。その後、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で合意された愛知目標や、2015年の国連持続可能な開発目標(SDGs)の採択、自然環境を国民生活や企業経営の基盤となる資本としてとらえる「自然資本」の考え方の普及、ESG投資の拡大など、企業の生物多様性取り組みに対する社会の期待が年々高まっていることを受け、今回の改訂に至った。

<労働慣行>
日本経済団体連合会が「女性活躍の次なるステージに向けた提言」を公表

(参考情報:2017年12月12日付 同会HP)

日本経済団体連合会(以下、経団連)は、政府と経済界が一体となって進めてきた「ウーマノミクス(女性の活躍を通じ経済の活性化を目指すこと)」の取り組みをさらに加速させるため、「女性活躍の次なるステージに向けた提言」を取りまとめて公表した。

本提言では、各種調査やアンケート結果から2013年以降の取り組み成果を振り返るとともに、女性の活躍が「労働力としての女性」、「消費者としての女性」という2つの側面から企業の成長や経済成長に繋がる点を整理し、あらためてウーマノミクスを推進する意義を強調。

<ESG>
経済産業省が「統合報告・ESG対話フォーラム」を創設

(参考情報:2017年12月15日付 同省HP)

経済産業省は12月15日、「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス*」を踏まえた企業と投資家の対話の場として、「統合報告・ESG対話フォーラム」を創設した旨を発表した。

本フォーラムの創設は、政府の「未来投資戦略2017」に基づくもので、企業経営者や機関投資家等が参画し、

  1. 企業の統合的開示・対話の好事例(グッド・プラクティス)の分析
  2. 投資家やアナリストによる企業分析・投資実務(諸外国との比較、今後のアナリスト教育のあり方を含む)、機関投資家におけるスチュワードシップ活動のあり方の検討
  3.   
<情報セキュリティ>
日本規格協会がJIS Q 15001「個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」改正版を発行

(参考情報:2017年12月20日付 同協会HP)

日本規格協会は12月20日、JIS Q 15001:2017「個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」を発行した。

同規格は、組織が個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用・継続的な改善を実施するための要求事項を規定している。今回の改正は、2015年9月に成立した改正個人情報保護法との整合性を図るためのものであり、2006年改正以来二度目の改正となる。

海外トピックス2017年11~12月に公開された海外のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<コンプライアンス>
トランスペアレンシー・インターナショナルが「公営企業の汚職防止10原則」を公表

(参考情報:2017年11月28日付 同組織HP)

腐敗防止に取り組む国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルは11月28日、「公営企業の汚職防止10原則」を公表した。

この原則は、公営企業(および公的資本が入った企業)の汚職防止プログラムを促進・支援するうえで必要な基本的な指針を示したものであり、同NGOが世界中の公営企業や政府関係者等の助言・提言を踏まえ作成したもの。

<気候変動>
フランス・パリで気候変動サミット開催

(参考情報:2017年12月12日付 サミットHP、他)

12月12日に気候変動サミット(One Planet Summit)がパリで開催され、約120カ国が参加した。サミットでは、企業と関係の深い以下の事項につき、発表があった。

①気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)への賛同企業の増加
金融安定理事会(FSB)が設置しているTCFDは、2017年6月に公表されたTCFDの提言*について、賛同企業数が237社(時価総額6.3兆ドル)に達したと発表した。

<人権>
タイ・ユニオンとネスレが漁船労働者の人権保護に向けた漁船を開発

(参考情報:2017年12月13日付 タイ・ユニオンHP)

水産業大手のタイ・ユニオンとネスレは12月13日、タイの漁船労働者の人権に配慮した新たな漁船を開発したことを発表した。

本漁船は、国際労働機関(ILO)の漁業労働条約(第188号)とタイの漁業規制を満たす24m以上の標準モデルとして設計された。上記規制では、漁船の所有者に対して、漁船の安全設備・レジャースペース・衛生キット・衛生的なトイレの確保、労働者への清潔な食事と休息の提供等を求めており、本漁船はこれらに対応するものとなっている。

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