レポート

ESGリスクトピックス 2017年度 No.8

2017.11.1

国内トピックス2017年9月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<労働慣行>
経済団体が「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を公表

(参考情報:2017年9月22日付 経団連HPなど)

日本経済団体連合会(以下、経団連)や日本商工会議所など全国110の経済団体が9月22日までに、「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」をとりまとめ、公表した。

長時間労働による社員の過労自殺が社会的に注目される中、財界として問題の改善を目指したもの。長時間労働の改善には国内の商慣行自体の見直しを進める必要があるとの認識から、経済界が歩調を合わせて改善を目指すことが狙い。

<労働慣行>
経団連が「働き方改革事例集」を発行

(参考情報:2017年9月25日付 経団連HP)

日本経済団体連合会(以下、経団連)は9月25日、「働き方改革事例集」を発行した。

本事例集は、会員企業15社の働き方改革に関する先進的な取り組みを紹介したもの。事例を取り上げた会員企業の業態は、製造、流通、金融、建築、IT・通信等、多岐にわたる。

経団連は、今年7月に「働き方CHALLENGE 2017」を採択し、経済界全体の働き方改革を進めるため、次の5項目を宣言した。

<事業継続>
中央防災会議 防災対策実行会議が「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応のあり方について(報告)」を公表

(参考情報:2017年9月26日付 内閣府HP)

中央防災会議 防災対策実行会議は9月26日、『南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応のあり方について(報告)』(以下、「報告書」)を公表した。

大規模地震対策特別措置法*が想定する地震は、「現在の科学的知見からは2~3日以内に発生するといった確度の高い地震の予測は困難」といわれている。これを踏まえ、報告書では同法に基づく現行の地震防災応急対策**をあらためる必要があるとして、そのあり方についてまとめたもの。

海外トピックス2017年9月に公開された海外のCSR・ERMに関する主な動向をご紹介します。

<人権>
アムネスティとビジネスと人権リソースセンターが企業の人権侵害防止に向け法規制強化を求めるレポートを公表

(参考情報:2017年9月4日付 同団体HP)

人権NGOの『アムネスティ・インターナショナル』と『ビジネスと人権リソースセンター』は9月4日、企業による人権侵害を防止するための法的課題と提言をまとめたレポート「Creating a paradigm shift: Legal solutions to improve access to remedy for corporate human rights abuse」を発表した。同レポートでは大きく次の4つの分野について提言を行っている。

  1. 子会社の人権侵害に対する親会社の責任を追及できる法律を制定するべきと主張。
    例として、今年2月にフランス議会が制定した「フランス企業注意責任法(Corporate Duty of Vigilance Law)」を挙げている。
  2.   
<ESG>
投資家からの気候変動関連情報の要求が活発に

(参考情報:2017年9月12日付 HSBCプレスリリース、2017年9月14日付 Shareactionプレスリリース)

英ESG投資推進NGOのShareactionと、米国の運用会社ボストン・コモン・アセット・マネジメントは9月14日、世界の大手銀行・証券会社に対して、気候変動対応に関する情報開示を要求する送付書簡をとりまとめた。この送付書簡には運用会社や年金基金、財団等100社以上が参加しており、その運用資産総額は約200兆円にのぼる。

書簡は、金融安定理事会(FSB)の気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が6月末に発表した最終提言も踏まえ、銀行・証券会社に対して4つの重点テーマ「気候変動に関連する戦略と実施」「気候変動関連リスクの評価とマネジメント」「低炭素商品・サービス」「政策へのエンゲージメントと他者との協働」に関する適切な情報開示を求めている。

<情報セキュリティ>
欧州委員会が非個人データのEU域内の自由な流れに向けた枠組みを提案

(参考情報:2017年9月19日付 同委員会HP)

欧州委員会は9月19日、個人を特定できないデータ(以下、「非個人データ」という)のEU域内における自由な流れを促す新たな枠組みを提案した。

来年5月にGDPR*を発効することで域外へのデータ流通の規制を強化する一方で、域内でのデータ流通については規制を簡素化し、流通を促進する。既存の個人データに関するルールと合わせ、この措置によりEU域内企業の競争力を高めることが可能となるとしている。

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