レポート

2017年度 No.5「鳥インフルエンザ(H7N9)の感染状況及び対応措置」

2017.11.1

はじめに

中国国家衛生・計画生産委員会(以下、衛計委という)が公表した「全国法定伝染病の感染状況」によれば、2016年12月から、中国の広い地域で鳥インフルエンザ(H7N9)の大規模な感染(第5次感染)が始まり、2017年1~2月には、感染者や死亡者数は平年を大きく上回った。現在、中国各地の感染者数は小康状態を保っているが、冬場に入り、昨年同様の感染が再発する可能性は否定できない。そこで本稿では、昨年の感染状況のトレンドを振り返りつつ、まもなく到来する冬場に向けて留意すべき感染予防策や事業継続の具体策を整理していく。

1. 2016年の感染状況

(1) 発症・死亡者数

図1及び図2は、衛計委が公式サイトで公開した「全国法定感染症の発生状況」のデータに基づき、2016年1月から2017年8月までの期間を対象に、鳥インフルエンザの感染状況をグラフ化したものである。

図1の通り、2016年12月に感染者数が106人まで一気に増加し、その内20人が死亡している。また、図2の通り、2017年1月は発症192人、死亡79人、2月は発症160人、死亡60人と引続き高い水準を維持した。また、2017年上期(1月~6月)を合計すると、発症636人、死亡261人を数え前年同期の各97人、40人から大幅に増加した。

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