レポート

2017年度 No.3「中国における電気安全の関連標準」

2017.7.1

はじめに

中国における電気設備に起因した火災事故(以下、電気火災という。)は過去より一貫して出火原因のトップになっている。また、電気火災に起因した死傷者は年間1000人を超え、直接的な経済損失も18億元を超えている。

電気火災は、電気設備の設計の問題、メンテナンスの不備、管理体制の不備等が複雑に絡むため、法令順守を意識した対策や体制整備が不可欠である。

本稿では、中国の電気火災に関わる統計データを振り返りつつ、電気設備に関わる主な標準を紹介の上、電気火災事故の防止について解説を行う。

1.中国における火災事故原因の概要

中国政府が公表した「2015年中国消防年鑑」の統計データによれば、2014年に中国では、約39.5万件の火災が発生している。図1の通り、その中の108,282件は電気火災で、火災事故全体の27%を占め、出火原因のトップになっている。また、図2の通り、電気火災108,282件のうち、電線の故障による火災事故の数は66,884件で電気火災全体の約60%を占め、次に電気設備の故障による火災が多い結果となっている。図3は製造業の出火原因を示したものである。製造業では約1.6万件の火災が発生しており、同様に電気火災が6,186件でトップを占めている。電気火災の比率は約37%と火災事故全体よりも10%高い結果を示しており、工場における電気火災対策の必要性が見て取れる。

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