レポート

2017年度 No.2「2017年台風動向予測と防災対策」

2017.6.1

はじめに

2016年に発生した数多くの台風のうち、中国大陸に上陸した数は8個であり、平年の7.6個より若干多い結果となった。台風には強風を伴う破壊力があり、直接的な経済損失は膨大であった。特に、夏から秋にかけての季節の境目である9月と10月には、中国の南部地域は甚大な被害を被った。

本稿では、昨年の中国における台風を振返りつつ、今年度の予測も踏まえて台風に備えた事前準備の必要性を喚起する。

1.2016年の台風概要

《2016年中国台風防御及び減災効果》の統計によれば、2016年は北西太平洋と南シナ海地域で26個の台風が発生し、中国大陸に上陸した台風の数は表1の通り8個であった。上陸地は中国の南沿岸部に集中し、福建省3個、広東省3個、海南省2個で、浙江省沿岸部への上陸はなかった。台風21号「サリカー」は10月18日に海南省に上陸後、19日広西省に再び上陸するという珍しいルートを辿った。

上陸した台風を風力で見ると、「強台風」4個、「台風」1個、「強熱帯暴風雨」2個、「熱帯暴風雨」1個であった。全体的に強度は従来よりも強まる傾向を見せ、中でも、台風14号「ムーランティ」の最大風力は17級以上(70m/s)を記録した。

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