レポート

2017年度 No.3「東南アジア地域における労働災害の傾向と防止策」

2017.10.1

本号は、東南アジア地域で発生している労働災害について、一般に公開されているデータと資料を踏まえ、今後の備えの参考にして頂くことを目的として作成したものです。

1.はじめに

労働災害は、コスト面や生産性だけではなく、労働者のモチベーション、企業イメージの低下など様々な問題に波及する可能性があります。ASEAN加盟国においても、地域経済力の向上、労働者の安全意識や権利意識の向上、国際社会からの要請などに伴い、労災リスクが労務管理の重要課題としてより認識されるようになっています。重大災害が発生した場合、関係当局による調査は厳しくなっており、原因究明・再発防止策確立まで操業停止が長期にわたるケースもあります。

弊社が実施しているASEAN加盟国に所在している工場の防災調査においても、労働災害防止への関心が高まっていることが感じられます。

2.労働災害の統計情報

東南アジア地域では、労働災害に関する情報を詳細かつタイムリーに開示している国が少ないのが実情です。例えば、国際労働機関(ILO)のウェブサイトで公表されている労働災害による死亡事故の統計情報を取上げると、登録状況は【表1】の通りです。

集計されている年は各国でバラつきがあるものの、死亡事故を除く労働災害の発生割合は、マレーシアが他国と比較して高い数値となっています。

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